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ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
秋、里にさまよう「害獣」を想う 令和2年9月16日

ヨサヲさま

 京都市内で学生生活を過ごされたヨサヲさんにとって、大学街の報告は懐かしい話題だったようで、よかったです。ハイライト、わびすけ…といった名前を聞くだけで一気に時間が戻ることでしょう。
 実はこれ、卒業後も京都市内で過ごしてき私にとっては、ひんぱんに遭遇する「反応」なんですよ(笑)。
先日も大学時代の仲間とリモート飲み会をしたのですが、とにかくみんな京都が懐かしい。大学周辺の写真を見せると「あーッ!」「この店の前でお前、マキちゃんにフラれたな」など、ノスタルジック大会です。多少の現実逃避も感じる、甘酸っぱい思い出の時間。つくづく、彼らにとって京都とは「キラキラした、もう二度と帰れぬ場所」なのでしょう。
 考えてみれば学生も観光客も「通過していく人たち」です。一方の私は、彼らの懐かしの場所でこれからも生きていく。つくづく、一時のテキトーな「外の目」に振り回されず、未来に責任を持たねば、と思います。

 長月になり、つるべ落としの日暮れに、風の匂いも変わりました。ヨサヲさんの書簡で、金色の穂波が目に浮かびました。コロナ禍でもリモートでは農業はできず、猛暑の夏にも手塩を掛けねば大地は秋の実りをもたらしてくれません。農家の方々には頭がさがるばかり。そうです、やっぱり第1次産業は尊く、そして自然と向き合う人間としての底力があるのはお百姓さんだと痛感します。

 実家の家庭菜園では先日、ちょっとした事件が。春に植えたサツマイモの葉がきれい食べられてしまったのです。近所の人に話を聞くと、どうやら、山からシカが下りてきているらしい。確かに、そこそこ市街地を流れる鴨川でもシカがひんぱんに目撃されています。
 今夏は府内でも全国でも、クマの情報が多かったですね。近年は、山が荒れて餌がなく、困ったクマやシカが里に下りてくる話をよく聞きます。身近な場所に現れた以上、駆除するしかなく、なんとも切ない結末を迎えます。第1次産業の疲弊は、野生動物と人との関係にも影響しますね。『食害→駆除→ジビエ料理』もいいけれど、根本的には、農村が元気になる以外に、両者共存の明るい解決策は見えないように思えます。

 「里の害獣」とは違いますが、最近、印象的な展示を見ました。
コロナ禍で遠出を控えていた先日、久しぶりに訪ねた京都市動物園でのことです。
 園は3年前にリニューアルして見所満載なのですが、新設したエントランス2階の資料室は特におすすめ。ここには、ニシゴリラのマック、ローランドゴリラの京太郎といった市民に親しまれた懐かしのスターのはく製とともに、大切に展示されている特別な動物がいました。1932年に飼育員の不注意で脱走し、射殺された小桜(オス、12歳)の皮です(写真)。
 悲劇を忘れぬよう、追悼と反省を込めた展示だそうです。里に現れる「害獣」とは違いますが、ヒトと動物の関わりに、なんとなく結び付けて考えさせられました。

ミヤコ
稲の収穫始まる。 令和2年9月16日

ミヤコさん

 今出川と百万遍の様子、ミヤコさんの書簡で目に浮かびます。学生の頃がなつかしくなります。「ほんやら堂」「わびすけ」よく利用しました。同志社の今出川とは打って変わって、京大生ってすぐわかるジャージ姿、下駄履きの学生がウロウロする百万遍界隈、その中心の学生食堂「ハイライト」。物理や化学のなんやら難しそうな話が物静かに飛び交う空間でした。実は私は今でも京都に行った際に時々利用しているんです。コロナ禍後はご無沙汰してますが、またぜひ行きたい。大好きな定番の「ミックスフライ定食」食べたいです。
 学生食堂も大学とともに文化を創ります。少なくなったとはいえ、学生客を相手とする食堂がまだ残る京都ではなおさらです。大学とともに頑張ってほしい。

 9月になってしのぎやすい日が増えました。ほんひと月前は20時頃でもうっすら明るかったですが、今は19時ですっかりあたりが真っ暗になります。
 そんな季節の変化とともに、今年も稲刈りの時期に入り、黄金色に輝く加悦谷平野一面が少しづつ刈り取られ始めてます。今年ももうこんな時期なんだとあらためて思います。そして、この米作りは、やっぱりここの大事な産業の一つであることを実感します。こんなコロナ禍にあって、特にサービス業の第3次産業やモノづくりの第2次産業が停滞する中、自然と向き合い自然と共存する第1次産業の尊さを今年は身に染みて感じます。

 ここ与謝野も農業に従事する方の高齢化、跡取り問題、生産性など多くの課題を抱えています。
 それでも7月のホップ収集から今月の稲刈りの様子を見ていると、何かしらの光明を感じます。何より、事業者の皆さんが明るい、そしてへこたれない。稲にしてもホップにしても、まさに土を耕すことから始まり収穫までいろんな苦難、しかも予想だにしない難題を都度々乗り越えての一連の仕事は、簡単にまねできるものじゃない。
それを毎年繰り返すわけですから、そりゃ強い。しかも今年は特別な年となりました。
 世の中が情報に翻弄されバタつき不安な日々であっても、農家の皆さんにとっては、1時間後の天候が一番の関心事項です。井上陽水の「傘がない」のように。
 農家の皆さんから学びます。 あたふたせず、目の前のことに没頭すれば、強くなれる、ぶれなくなると。

 ミヤコさん、格別な今年のお米、またお届けします。

ヨサヲ
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