与謝野町観光協会 与謝野日々是

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ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
寂しい大学街、コロナもあるけど‥。 令和2年9月2日

ヨサヲさま

 長い間、お金はなくて腹ぺこな学生たちを支えてきた早稲田周辺の飲食店の苦境、辛い思いで読みました。もともと、「薄利多売」プラス「店主の心意気」で何とか自転車操業をしてきたところが大半でしょう。そんな学生街の人々のあったかい親心まで踏みにじる、今回のコロナ禍です。

 学生街といえば京都も「学都」と呼ばれ、国公立と私立をあわせて30校以上の大学がまちなかに点在しています。中でも学生街としては、京都大のある吉田界隈、同志社大の今出川界隈が有名でしょうか。
 ヨサヲさんの書簡に久しぶりに界隈を歩いてみました。もちろんコロナでキャンパスに入れなくなり学生の姿は減っています。しかしコロナ禍を差し引いても、学生街の変貌はすさまじく、私は寂しかったです。
 たとえば京都大のある百万遍の交差点に立ち、見渡してみます。目に飛び込むのは吉野家、マクドナルド、王将、松屋、ケンタッキー、ドラッグストア。かつての本屋はコンビニとサイゼリアになり、文具屋はお好み焼きチェーン店に。もちろん、「味よし、量よし、値段よし」の張り紙が踊る昔ながらの定食屋ハイライトや、いまや観光名所のカフェ・進々堂など、古き良き学生街の雰囲気を伝える店も頑張っています。しかし‥。
 同じ現象は今出川にも。歩くサブカル店主の「ほんやら堂」は既になく、100年の歴史をほこった「わびすけ」も9年前に閉店しました。書生が小説家を目指して店の隅で執筆しているような独特のレトロ感、大鉢に金魚が泳ぎ、あるのはカレーと名物「いもねぎ」のみ。閉店当時、京都を離れた友人たちに悲報を伝えると、みんな「永久にあると思っていた」と絶句したものです。学生会館を壊して新設したレンガ調の寒梅館はおしゃれだし、通りも昔に比べて垢抜けた感じになったのですけれどね。

 京都市内にはたくさん大学はあれど、学生街の雰囲気は年々失われていると感じます。
 そして、市民と学生の精神的な距離も、残念ながら少し離れたかもしれません。以前の市民は学生に対しておおらかで、特に、下宿生が多い界隈は地域全体に温かい雰囲気がありました。
 どの大学も、キャンパスの分離で学生街をつくりにくくなったこともあるでしょう。学生が下宿屋ではなくマンションに住むようになったのも、今に始まったことではありません。しかし年々、大学があるはずなのに、大学の街の匂いがしない京都、になっている気がします。
そうそう、「めし代のない人、皿洗い30分で腹いっぱい」(今は「仕送り遅れの人」などが無料)で知られる餃子の王将・出町店も今秋閉店するそうです。寂しいです。

 9月になり、ようやく大学でも対面授業が始まります。コロナの影響は残るでしょうが、学生もフィールドワークや論文執筆の準備で京都の市井の人々と交流を始めるでしょう。コロナ後の学生街、ウォッチングを続けたいと思います。

ミヤコ
大学キャンパスは今 令和2年9月2日

ミヤコさん

 8月も終盤になりましたね。もう秋も近い。けれどコロナ禍は続きます。
 先日東京の友人からこんなメールが届きました。
 高田馬場の飲食店がばたばた閉店になっている。その一番の原因は、早稲田大学生が来店しないこと。 そもそも早稲田大は新学期を迎えながらも入学式も行わず、以来キャンパス閉鎖状態(一部は解放されているものの本来のキャンパス状態ではない)が続いている。特に高田馬場は早大生のたまり場、サークルの打ち上げやコンパで利用客は圧倒的に早大生、そしてその関連の学生仲間や社会人。
 自粛規制が解除されたところで、早大キャンパスが完全解放されない限り店は閑散としたまま。高田馬場がやばい。自分が学生の頃通った店も閉店。時代とともに新しい早大生を迎えて今日まで続いていた店が、こんなことで無くなるなんて。いやー思い出がコロナで失われていく。

 高田馬場駅周辺は、早大生のたまり場で有名です。駅周辺は、ほぼ学生で溢れている場所。何度か行きましたが、学生相手の安くておいしい店が軒を連ねる、ある意味特徴的な場所です。
それが・・・。私もとてもびっくりしています。
 早稲田大学在籍者数は52,000人。先生、大学関係職員さらには周辺の大学生を合わせると中堅都市並みのエリア。これが消えているわけですから、それはそれは深刻な問題です。
 早稲田大学周辺の店は、どうやらOBたちが日参し応援している模様。痛々しい現実です。

 この話は、早稲田大学だけにとどまらず、きっと日本中の大学の状態です。
この夏を過ぎると秋期が始まります。これからどうなっていくのだろう?ZOOMでしか会ってない仲間、先生との関係ってどうなるんだろう?そもそもサークル活動は?そして最大のお祭りである学祭は?
 考え始めると想像つかないことばかり。

 このコロナ禍は、実体経済の破壊だけでなく、未来を担う若者たちの健全な成長を妨げています。これこそ大打撃なことではないかと感じるこの頃です。
 自身の遠い日の大学生活を振り返り、あれだけ怠け者で勉強嫌いだった自身ではありますが、キャンパスは大好きだった。授業をさぼってキャンパスで仲間と屯している時間がなんとも心地よかった。
 社会で生きる術を学んだのは、授業ではなくキャンパス空間や時間だったとあらためて思います。

 いやー、なんとかならないのか、この状況!

ヨサヲ
与謝野町観光協会 会員企業
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