与謝野町観光協会 与謝野日々是

一社)京都府北部地域連携都市圏振興社
与謝野地域本部与謝野町観光協会
与謝野日々是 > 稲の収穫始まる。
ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
稲の収穫始まる。 令和2年9月9日

ミヤコさん

 今出川と百万遍の様子、ミヤコさんの書簡で目に浮かびます。学生の頃がなつかしくなります。「ほんやら堂」「わびすけ」よく利用しました。同志社の今出川とは打って変わって、京大生ってすぐわかるジャージ姿、下駄履きの学生がウロウロする百万遍界隈、その中心の学生食堂「ハイライト」。物理や化学のなんやら難しそうな話が物静かに飛び交う空間でした。実は私は今でも京都に行った際に時々利用しているんです。コロナ禍後はご無沙汰してますが、またぜひ行きたい。大好きな定番の「ミックスフライ定食」食べたいです。
 学生食堂も大学とともに文化を創ります。少なくなったとはいえ、学生客を相手とする食堂がまだ残る京都ではなおさらです。大学とともに頑張ってほしい。

 9月になってしのぎやすい日が増えました。ほんひと月前は20時頃でもうっすら明るかったですが、今は19時ですっかりあたりが真っ暗になります。
 そんな季節の変化とともに、今年も稲刈りの時期に入り、黄金色に輝く加悦谷平野一面が少しづつ刈り取られ始めてます。今年ももうこんな時期なんだとあらためて思います。そして、この米作りは、やっぱりここの大事な産業の一つであることを実感します。こんなコロナ禍にあって、特にサービス業の第3次産業やモノづくりの第2次産業が停滞する中、自然と向き合い自然と共存する第1次産業の尊さを今年は身に染みて感じます。

 ここ与謝野も農業に従事する方の高齢化、跡取り問題、生産性など多くの課題を抱えています。
 それでも7月のホップ収集から今月の稲刈りの様子を見ていると、何かしらの光明を感じます。何より、事業者の皆さんが明るい、そしてへこたれない。稲にしてもホップにしても、まさに土を耕すことから始まり収穫までいろんな苦難、しかも予想だにしない難題を都度々乗り越えての一連の仕事は、簡単にまねできるものじゃない。
それを毎年繰り返すわけですから、そりゃ強い。しかも今年は特別な年となりました。
 世の中が情報に翻弄されバタつき不安な日々であっても、農家の皆さんにとっては、1時間後の天候が一番の関心事項です。井上陽水の「傘がない」のように。
 農家の皆さんから学びます。 あたふたせず、目の前のことに没頭すれば、強くなれる、ぶれなくなると。

 ミヤコさん、格別な今年のお米、またお届けします。

ヨサヲ
寂しい大学街、コロナもあるけど‥。 令和2年9月9日

ヨサヲさま

 長い間、お金はなくて腹ぺこな学生たちを支えてきた早稲田周辺の飲食店の苦境、辛い思いで読みました。もともと、「薄利多売」プラス「店主の心意気」で何とか自転車操業をしてきたところが大半でしょう。そんな学生街の人々のあったかい親心まで踏みにじる、今回のコロナ禍です。

 学生街といえば京都も「学都」と呼ばれ、国公立と私立をあわせて30校以上の大学がまちなかに点在しています。中でも学生街としては、京都大のある吉田界隈、同志社大の今出川界隈が有名でしょうか。
 ヨサヲさんの書簡に久しぶりに界隈を歩いてみました。もちろんコロナでキャンパスに入れなくなり学生の姿は減っています。しかしコロナ禍を差し引いても、学生街の変貌はすさまじく、私は寂しかったです。
 たとえば京都大のある百万遍の交差点に立ち、見渡してみます。目に飛び込むのは吉野家、マクドナルド、王将、松屋、ケンタッキー、ドラッグストア。かつての本屋はコンビニとサイゼリアになり、文具屋はお好み焼きチェーン店に。もちろん、「味よし、量よし、値段よし」の張り紙が踊る昔ながらの定食屋ハイライトや、いまや観光名所のカフェ・進々堂など、古き良き学生街の雰囲気を伝える店も頑張っています。しかし‥。
 同じ現象は今出川にも。歩くサブカル店主の「ほんやら堂」は既になく、100年の歴史をほこった「わびすけ」も9年前に閉店しました。書生が小説家を目指して店の隅で執筆しているような独特のレトロ感、大鉢に金魚が泳ぎ、あるのはカレーと名物「いもねぎ」のみ。閉店当時、京都を離れた友人たちに悲報を伝えると、みんな「永久にあると思っていた」と絶句したものです。学生会館を壊して新設したレンガ調の寒梅館はおしゃれだし、通りも昔に比べて垢抜けた感じになったのですけれどね。

 京都市内にはたくさん大学はあれど、学生街の雰囲気は年々失われていると感じます。
 そして、市民と学生の精神的な距離も、残念ながら少し離れたかもしれません。以前の市民は学生に対しておおらかで、特に、下宿生が多い界隈は地域全体に温かい雰囲気がありました。
 どの大学も、キャンパスの分離で学生街をつくりにくくなったこともあるでしょう。学生が下宿屋ではなくマンションに住むようになったのも、今に始まったことではありません。しかし年々、大学があるはずなのに、大学の街の匂いがしない京都、になっている気がします。
そうそう、「めし代のない人、皿洗い30分で腹いっぱい」(今は「仕送り遅れの人」などが無料)で知られる餃子の王将・出町店も今秋閉店するそうです。寂しいです。

 9月になり、ようやく大学でも対面授業が始まります。コロナの影響は残るでしょうが、学生もフィールドワークや論文執筆の準備で京都の市井の人々と交流を始めるでしょう。コロナ後の学生街、ウォッチングを続けたいと思います。

ミヤコ
与謝野町観光協会 会員企業
Page top