ヨサヲさま
与謝野ホップのクラフトビール、発売おめでとうございます。
到着を心待ちにする「ワクワク感」、そして、ぐいぐいと喉で味わう「高揚感」って、ビールが大地の恵みに直結しているからだと思います。与謝野の大地と美しい水がはぐくんだホップ。それは、「種を蒔けば、ハイ完成」ではありません。ホップ農家やレンジャーが汗を流して世話をして、そして、誇りをもって送り出すからこそ、与謝野のビールは「幸せな味」がするのでしょう。
消費者は、敏感です。栄養はもちろん、そんな地域の思いが込められた愛ある食品が、味わいたい。たとえ現地を訪れられずとも、その大地の風を感じたい。ビールは里の恵みの粋なおすそ分け、与謝野からの爽快なプレゼントです。
私がそう思うのは、春から畑に通って、野菜を育てたからでしょう。
たとえばスイカ。4月の終わり、欲張っていくつものスイカの苗をせっせと植えていると、周囲のベテランから「ひと苗で畳2畳分は要るよ」と言われてびっくり。植え直し、ワラでツルの道を作り、花が咲けば受粉させ、小さな実が成れば、下にクッションを敷き…と懸命にお世話。半分は鳥に食べられ、急いで柵を作って網をかけ…。素人ながら、こどもを育てるようにスイカを見守り、そして、ついにお盆前に収穫しました。
中から現れた真っ赤な果実に、「なんて大地は偉大なんだ!」と仲間と感涙。一緒に収穫したナスや万願寺とうがらしとともに、初盆のお仏壇に供えると、とても豊かな気持ちになれました。
農作物や、ビールなどの加工品って、誰かの時間と手間もいただいているんだな、と改めて気づいた、コロナの夏でした。今回の写真は都会っぽくなくて、申し訳ありません。「京都のいとはん」が初チャレンジしたスイカです。写真に塩を振って、どうぞお召し上がりくださいね。
さて、コロナで仕事も普段の暮らしもオロオロ試行錯誤しているうちに、今年のお盆も暮れていきました。6カ所のみ点火の「大文字の送り火」。星座のように心の中で点を結び、ベランダや玄関先から静かに見守る方が多かったようです。
もともと、彼岸へ帰る亡き人を送る鎮魂の行事です。ことしはコロナで、満足な別れ方ができなかった方も多いことでしょう。送り火を担う五山の保存会の人々も、そんな方々に思いをはせて、焚き上げられたようです。
漆黒の闇に炎は大きく揺れて、そして、ゆっくりと消えていきました。
観光客にもみくちゃにされて見る例年よりも、本来の向き合い方ができたような。心にしみる夏の終わりです。
ミヤコさん
毎日暑い日が続きますが、お変りありませんか。
今回は久々にうれしいニュースをお届けします。
9日に与謝野産にホップを使ったクラフトビールが町内で発売されました。ここ道の駅でも発売し3日間の売上状況は、絶好調!
コロナ禍なんて、吹っ飛んでいます。
この1か月、与謝野町産ホップが京都新聞をはじめ各種メディアに取り上げられました。併せて、メディア露出のタイミングでSNSを通じてファンの皆様に発信し続けました。その甲斐あってか、いつ販売する?どこで販売する?など、多くの問い合わせを頂きました。8月8日にはHNKの「京いちにち」で放送され、徐々に醸成された期待感をピークにしての発売となりました。
この道の駅だけでの販売に限っても3日間で900缶近くを販売しました。
ロンチ(立ち上げ)の成功を実感しています。
関係者の間では、コロナを吹き飛ばすこの状況をとても喜んでいますし、確かな手ごたえを感じています。
私なりの私見を言わせて頂くなら、今のこの成熟社会にあって、今更どうしても行きたい所も、食べたい物も、究極やりたいこともないのではないかと思うのです。日本は、食うに困らない、着るに困らない贅沢で幸せな国です。びくびくして旅行気分になれるのか、マスクしてあちこち動き回れるのか。時間制限の飲み屋で周りに気を使って言葉少なに楽しめるのか、群れず一体ともならず高揚感のないスポーツ観戦が楽しめるのか。
そんなことを考えると政府の打ち出す政策がいくら割引をつけようがお得だと言っても心躍らない。もちろん事業者にとっては死活問題でしょうが、施策に共感を感じないのです。
片田舎の小さな世界の出来事ではあるけれど、与謝野産ホップのクラフトビールの発売は、一刻も早く飲んでみたいと心踊らされ駆り立てられます。これは、今までなかったもの、新しいものという価値、更にはチャレンジャブルなホップ生産家の皆さんへの称賛、応援、そしてリスペクトという共感を感じるからです。
成熟社会におけるコロナ禍にあっての我々の生き方、経済の回し方を少しではあるけれど示唆しているようにも思います。こんな町でそういう機運が盛り上がっていること、何より喜ばしいことです。
近いうち、ミヤコさんにお届けします!町の機運を味わえるクラフトビールを。