与謝野町観光協会 与謝野日々是

一社)京都府北部地域連携都市圏振興社
与謝野地域本部与謝野町観光協会
与謝野日々是 > 「地域の宝」を支えるのは誰?
ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
「地域の宝」を支えるのは誰? 令和2年3月5日

ヨサヲさま

 加悦SL広場!昨年末に飛び込んで来たニュースに驚きました。確か、京都市内からC型の車両が里帰りしたところですよね?鉄道好きの友人と一緒に訪ねたことがあります。威風堂々の蒸気機関車もいいけれど、私は重要文化財の123号が好きです。「陸蒸気」という言葉が似合い、正面の表情も少年のようでかわいい。ヨーロッパの香りを感じます。ぐっと時代は近づきますが、オレンジ色のディーゼルも与謝野の方には、懐かしい友だちのような存在でしょう。
  京都鉄道博物館などに寄贈する道を探られるのでしょうが、一度手放すと二度と帰ってこない。せめて数台をふるさとに留め置かれるために、全国の鉄道ファンにクラウドファンディングを募ってみては? ヨサヲさんのおっしゃる通り、地元だけが維持・負担を担うのは限界があります。でも、「やはり野に置け」と現場保存を願う愛好家は少なからずいるはず。このあたりに訴えられないものでしょうか‥。

 こちらでも、ジュンク堂閉店をお伝えした直後、追い打ちをかけるニュースが。それは寺町通りにある「三月書房」(1950年創業)の閉店です。
 ヨサヲさんは訪ねたことありますか?京都で最も「大学のまち・京都の匂い」を漂わせた書店です。古書店が多い寺町通にあるのですが、古書店ではありません。しかし、古書店並みに入りにくいかもしれません。奥に店主が座る売場に並ぶのは、本好きにはたまらないセレクション。大学時代に初めて訪れた時「大人になった」と実感しました。
 いま、大きな書店にいっても、置いている本ってどこも同じですよね。ベストセラーや出版年の浅い本ばかり。ヘイト本も平積みになっているし。「書店が品定めしている」というより、「取次が送ってくる『売れ筋』を置いているだけ」なのでしょう。だから売場が広くても、全然ときめかない。 「三月書房」に行くと胸がドキドキします。ときめき、というより、「まだまだ手をつけていない世界がある!」と焦るのです。
  店主は、閉店と聞けば惜しんで詰めかける「都合のいい移り気な人々」にウンザリで、「閉めるといって開いてるやん」と客足が遠のいた頃に「週7休にする」とのこと。このあたりの、ちょっと偏屈ぶりも京都人らしくて好きです。だから、惜しいけれど、幕引きを支持します。

 さて、コロナ禍で全国一斉に自粛の嵐ですね。そして、マスクと消毒剤に続いて、トイレットペーパーも店頭から消えました。デマを信じる人に加え、信じない人もデマで商品が消えると予測して買いだめするので、余計にモノがなくなるらしい。人の心理はやっかいですね。
 写真は、桜の芽もふっくらとしてきた美しい春の哲学の道(左京区)です。いつもは人であふれていますが、こんな状況でした。久しぶりの人の少ない京都。陽気を胸いっぱいに吸い込みました。こどもたちも春の太陽を浴びてほしいな。そのほうが、免疫力が高まる気がするのですが‥。

ミヤコ
生かすも殺すも、残すも無くすも、我々次第 令和2年3月5日

ミヤコ様

 四条のジュンク堂が無くなる?とてもショックです。学生の街、書店は京都の象徴なのに。

 特に四条のジュンク堂は、床面積もちょうどよい加減で、半日いても飽きない空間でしたよね。小規模のいわゆる町の本屋さんの廃業ニュースはしばしば耳にしますが、ジュンク堂となると100万都市規模に立地する大型書店だから、ほんと驚きです。

 と言いながら、実は、自分はアマゾンで本を買っている。もちろん新刊本はリアル店舗で購入しますが、時間が経過した本はアマゾンリセール価格で購入することも多々。ショックだ、残念だと思う前に、書店で買えよ!と言われて何も反論できず、自虐的になります。

 ジュンク堂の閉店に似た話が、こちらでも。

 実は、この3月で道の駅の対面にある、SL広場が閉館します。ミヤコさんもきっとご存じでしょう。ここには、日本で2番目に古い「2号機関車」をはじめ、スタイリッシュなC57や個性的な客車ハブ3号、ハ4995号など27輌が展示されているし、めったに見れない手動式の転車台もあります。

 館内は、昭和へタイムスリップした空間が広がってます。

 この地域にあるせいか、近年ここを訪れる方がめっきり減少しました。そもそもSLという言葉でさえ死語になっている昨今、仕方ないことかもしれないけど、ジュンク堂同様とても残念です。

 閉館ニュース後の土日は、日本中コロナウイルス情報で外出が控えられているにも関わらず、多くの人がこのSL広場に訪れ、帰りに道の駅に立ち寄り、お土産品を買いながら「SL広場が無くなるの残念ですね。」とか「何で閉館?」とか何かしら言葉をかけてくれる日が続きます。

 けれど、やっぱり書店と同様に、無くなることがわかってからの行動や気持ちであって、都合のいい移り気な人の気持ちを思い知ります。

 こういう事象は、今後加速度的に日本中で発生することでしょう。どんなに歴史的文化的価値があろうとも、助けがないと、生き残れません。助けがないと、存在できません。

 生かすも殺すも我々自身であることをもっともっと実感しなくてはならないんじゃないかな、と。

ヨサヲ
与謝野町観光協会 会員企業
Page top