ヨサヲさん
最近の書簡、オトナが若者に文句を言う「オヤジジャーナル」的になっていないか心配です(笑)。
ですがやっぱり言いたい!
学生と話していると、彼らの悩みや迷いさえ、キラキラまぶしくて愛しさでいっぱいになります。けれど、「A社に就職します」「B社に決まりました」と聞くと、とたんに「えっ、そんなところに収まってしまうの?」と残念に思うことが多い。それがいわゆる「一流企業」であってもです。「おめでとう」と言いつつ、内心は「目の前の個性」と「会社」とのマッチングに違和感満載。思わず「よかったね。でも、合ってないと思えば、別の道もあるよ」と小声で付け足してみたりします。
上級生になると周囲のみんなが「好きな道」「将来」を考えているように見えて焦ります。「同調圧力」は「焦り」「不安」が大好物。知らず知らずのうちに就活レールに載せられて、「よさげな会社」に就職を決めたりしています。
私は最近、ある国立大の就活担当者と話したのですが、「第1志望ではない会社から『うちが第1志望ですか』と聞かれたら、何と答えるように助言してますか?」と聞いたところ、「まっすぐ相手を見て、『そうです』と答えなさい、と指導します」と真顔で。これって異常ですよね? 社会人としての入り口で「嘘をつきなさい」と教えるなんて。就活って、やはり若者を惑わせるクセモノ的システムです。
私も若者には、立ち止まって自在に、自由で広い世の中を味わってから、仕事を見つけても遅くない!と励ましたいです。
私は勤めていた会社を早期退職したのですが、辞めて初めて、こんなに世界は広くて、そしていろんな仕事をしている人がいると気づきました。
まず「面白いな」と思えることを見つけ、それを突き詰めると、現代ではそれが必ず仕事になります。若者のライフスタイル自身に、次のビジネスチャンスがあるとつくづく思う。たとえば「マツコの知らない世界」。趣味の分野に精通した会社員がよく登場しますが、2度目の登場時には、それを仕事にしている例も珍しくありません。
就職したとしても、ぜひベンチャー精神をもって会社に新風を巻き起こしてほしい。そして、次の道が見えたら、飛び出してもいいと思います。
私の大好きなエディは今月6日に亡くなってしまいましたが、ヴァン・ヘイレンの代表曲「Jump」を若者に送ります。「僕は立ち上がる。落ち込ませるものなど何もない。君のつらさはわかる。切り抜けて本物を手にいれよう。さあ飛べ。進め、そして飛ぼう」と歌います。ちょっと落ち込んだ時に聴くと、勇気が出ますよ!エディの笑顔も最高です。
ミヤコさん
福知山公立大へのエールありがとうございます。一度、ミヤコさんを学生の皆さんに会わせたいです。ミヤコさんから、「今すぐ、この教室飛び出して、自由な発想をしなさい!」と呼び掛けてほしい。そして元気に教室を飛び出す学生の姿を見てみたいです(笑)。
今、読んでいる本「同調圧力」。日本に(だけに)存在する「世間」による日本社会の息苦しさについての、鴻上尚史さんと佐藤直樹さんの対談。日本の「世間」が、欧米の「社会」と区別して述べられています。
鴻上さんは「世間」を「現在および将来、自分に関係がある人たちだけで形成される世界」と定義付けます。佐藤さんは「社会」を「ばらばらの個人から成り立っていて、個人の結びつきが法律で定められているような人間関係」と定義付けます。
特に「世間」は、地方ほど大きくのしかかってきますが、京都も固有の伝統という古いしきたりが多くあるという意味において「社会」ではなく「世間」ですね。
ある意味、大学期間はその「世間」を一切気にせず、自分の思い通りに生きられる期間です。大学という場所自体「個々が立ち止まる自由を持つ」個人の集まりです。大学は、「社会」をかじることもでき、「世間」を無視することもできます。これもとても大事な特権期間です。いやー、学生の皆さんにお話したいなあ。
今、NewsPicksで「ジョブ型雇用」への転換について配信されています。ジョブ型=就職、メンバーシップ型=就社と定義し、コロナ禍で企業がジョブ型の組織に転換しジョブ型人材を集めていることを伝えます。
まさに、働き方が変化してきている仕事環境です。時代は、専門的スキルオリエンテッドな働き方、生き方へ。 そもそも、就職、就職って騒ぐけれど、実は就社ですよね。本当にしっかり身につけたスキルがあれば、会社ではなく職を選ぶわけで。
我々の時代は、就社でよかった。誰もが全く疑わなかった、会社の右肩上がりの成長を約束されていたから。あれから40年。そりゃ、変わりますよね。今や、5年先も誰も予想がつかない時代。会社を信じることなど到底できない時代です。
今までは、「どこの会社にお勤めですか」でしたが、これからは「どんな仕事をされてますか」が当たり前の時代になるような気がします。学生の皆さん、だからこそ、自分が人生を賭けられる好きなことを、今探しましょう!そのために「立ち止まる自由」を使いまくりましょう。
30年も前の1988年、西部セゾングループの求人広告、糸井重里さんの名コピー
「サラリーマンという仕事はありません。」
糸井さんに、時代がようやく追いついてきました。ですよね、ミヤコさん!