ちりめん街道 重要伝統的建造物群保存地区【京都府・与謝野町加悦】


加悦・金屋線の昭和30年代の風景

重要伝統的建造物群保存地区とは 「価値が高い」と判断された歴史的町並み

重要伝統的建造物群保存地区(※以下、伝建地区と表記)とは、全国各地に残る歴史的な集落・町並みのうち、国によって特別に選定された地区を指します。
昭和50年の文化財保護法の改正によって伝建地区の制度が発足し,城下町,宿場町,門前町など貴重な集落・町並みの保存が図られるようになりました。

市町村は,伝建地区を決定し,地区内の保存事業を計画的に進めるため,保存条例に基づき保存計画を定めます。国は市町村からの申出を受けて,我が国にとって価値が高いと判断したものを伝建地区に選定します。

平成23年6月20日現在,伝建地区は,77市町村で91地区(合計面積約3,322ha)あり,約18,000件の伝統的建造物が保存すべき建造物として特定されており、京都のみならず、関西圏全域に伝建地区に指定される地域が増えています。

優れたデザインが地域に溶け込んだ場所

伝建地区の選定基準はどういったものなのでしょうか?文化庁の資料によると、次のような基準が定められています。

  • (一)伝統的建造物群が全体として意匠的に優秀なもの
  • (二)伝統的建造物群及び地割がよく旧態を保持しているもの
  • (三)伝統的建造物群及びその周囲の環境が地域的特色を顕著に示しているもの
  • ※(昭和50年11月20日文部省告示第157号)

つまり伝建地区とは、視覚的・機能的に優れた意匠(デザイン)であり、かつ当時の町並みがそのままに残っていること、そして何より、地域的特色をよく表している地区と言えます。
 単に建物として優れているだけなく、人々の生活文化が根付き、生かされた場所でなければ、このような基準を満たす事はありません。
すなわち伝建地区とは、優れたデザインが地域に溶け込んだ地区だと言えます。

ちりめん街道が重伝建に指定されるまで

他の多くの伝建地区がそうであるように、京都の北部にあるちりめん街道もまた、ある日突然伝建地区に指定された訳ではありません。調査研究に当たってくださった教育機関の方々を始め、多くの方の努力によってその魅力の再発見にたどり着いています。以下は、ちりめん街道が伝建地区に指定されるまでの取り組みを一覧にまとめたものです。

年月日 主な活動・動き 関 係 者
昭和62.8 ちりめん街道建造物 現状調査 京都工芸繊維大学
平成8.5.1 旧加悦鉄道加悦駅舎を加悦町指定文化財に指定 加悦町
9.3.14 加悦町役場庁舎(S4)が京都府指定文化財に指定 京都府
10.8 ちりめん街道の住民に対する意識調査(宗田助教授)調査結果は、地元住民はかなり意識の低いことが発覚 京都府立大学
10.10 ちりめん街道を考える会が発足(住民外で結成) ちりめん街道を考える会
10.11.10 ちりめん街道塾(第1回) 講師 町職員(佐藤) ちりめん街道を考える会
11.6.4 第1次近代化建造物保存活用検討委員会(第1回)
(旧加悦鉄道加悦駅舎の活用方法を検討)
加悦町
11.11.7 「第1回ちりめん街道まるごとミュージアム」開催
参加者 約2000人 (住民外が中心)
ちりめん街道を考える会
12.4.20 文化庁文化財部建造物課江面嗣人主任文化財調査官によるちりめん街道現地視察 文化庁、京都府
12.6.1 ちりめん街道を考える会への入会勧誘を積極的に行う ちりめん街道を考える会
12.6~7 加悦町の担当者がちりめん街道の50戸を訪問して、町並み保存について意見聴取 加悦町
12.6~9 加悦町観光文化の語りべ養成講座(町並み部門) 加悦町
12.8.9 ちりめん街道を考える会が解散 ちりめん街道を考える会
12.8.17 ちりめん街道を守り育てる会が発足(地区住民で結成) ちりめん街道を守り育てる会
12.8.25 ちりめん街道塾(第7回)「町並み意識調査から」
講師 京都府立大学大学院生
ちりめん街道を守り育てる会
12. 10. 22 「第2回ちりめん街道まるごとミュージアム」開催
参加者 約5000人 (住民が中心) 以後毎年開催(H16を除く)
ちりめん街道を守り育てる会
12. 11~13. 3 旧加悦鉄道加悦駅舎 保存修理工事 加悦町
13.2~ ちりめん街道の各地区で伝建制度の説明会を実施 ちりめん街道を守り育てる会
13.5.15 ちりめん街道を守り育てる会 第1回総会 ちりめん街道を守り育てる会
13.6. 8 ちりめん街道塾(第8回)「ちりめん街道の調査」
講師 京都工芸繊維大学教授 日向 進氏
ちりめん街道を守り育てる会
13.8 ちりめん街道伝統的建造物調査
尾藤家(文久3)、下村哲人家(M20)、伊藤医院(T6)を調査
京都工芸繊維大学
13.10.28 加悦町伝統文化を活かしたまちづくりフォーラム「伝統文化を見つめる住民のまなざしと町並み保存」開催 参加者 50人 加悦町
14.3 統一の「のれん」96枚を製作し、各戸の玄関に掲げる ちりめん街道を守り育てる会
14.3.13 第2次近代化建造物保存活用検討委員会(第1回)
(尾藤家住宅と加悦町役場庁舎の活用方法を検討)
加悦町
14.8.1 旧加悦鉄道加悦駅舎 竣工 加悦町
14.9~12 ちりめん街道伝統的建造物調査
杉本 啓家住宅、杉本成史家住宅を調査
京都工芸繊維大学
14.11.28 京都府指定文化財「尾藤家住宅」が尾藤家より加悦町へ寄付される 加悦町
15.1~3 「尾藤家住宅」所蔵の生活文化資料整理をちりめん街道を守り育てる会に委託 ちりめん街道を守り育てる会
15.3.16 ちりめん街道塾(第10回)「尾藤家住宅について」
講師 町職員 佐藤晃一
ちりめん街道を守り育てる会
15.6.4~5 文化庁文化財部建造物課梅津章子文部科学技官によるちりめん街道の現地視察 文化庁、京都府
15.8~16. 3 ちりめん街道伝統的建造物保存対策調査
地区内の50戸を調査(文化庁国庫補助事業)
京都工芸繊維大学
15.9~16.9 京都府指定文化財「尾藤家住宅」保存修復工事 加悦町
16.2.21 尾藤家住宅保存修復工事一般公開日(第1回) 加悦町
16.8~ 加悦町加悦伝統的建造物群保存対策調査報告書の作成開始 加悦町、京都工芸繊維大学
16.10.18 京都府指定文化財「尾藤家住宅」保存修復 竣工 加悦町
16.12.17 加悦町伝統的建造物群保存地区条例制定 加悦町
17.2.15 加悦町伝統的建造物群保存地区保存審議会(第1回)の開催
文化庁文化財部建造物課梅津章子文部科学技官出席
加悦町
17.5.21 文化庁文化財部刈谷参事官によるちりめん街道の視察 文化庁
17.6.20~ 重要伝統的建造物群保存地区選定に向けた住民説明会 加悦町
17.6~7 役員を中心に、伝統的建造物所有者に対して同意を求める取り組みを実施 ちりめん街道を守り育てる会
17.7.21 伝統的建造物の同意書の締め切り(60人の同意書) 加悦町
17.7 重要伝統的建造物群保存地区選定の申出 加悦町
17.12.27 重要伝統的建造物群保存地区の選定 文化庁
ちりめん街道ウェブサイト > 重要伝統的建造物群保存地区(伝建地区)とは