与謝野町観光協会 与謝野日々是

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ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
別れの季節に、明日を想う 令和3年3月24日

ヨサヲさま

 京都のまちは桜に彩られてパステル色に匂うようです。円山公園、京都御所、平野神社…名所の桜も素晴らしいですが、いつもの散歩道にある公園や民家の庭など、身近な桜が一生懸命咲いている姿が愛しいですね。
 昨年は次々と式典がなくなりましたが、桜の下、今年はよそ行き服のこどもたちやきもの姿の学生を見かけます。春の別れは、晴れやかですが少し切ないですね。
この往復書簡もそう。そして今回が、私からの最後の便りです。

 3年間、年末年始を除いて休みなしで書簡を交換した、まずは互いをねぎらいましょう。
そして、私から改めて、ヨサヲさんや与謝野町のみなさま、このコラムを読んでくださっている方々に深く御礼を申し上げます。ありがとうございました。
 というのも、フラリと街に出ても案外、何にも気づかない。書簡のネタを探す目的で街を見渡すからこそ、ふるさと京都(市)の変化や流行をキャッチできたと思うのです。

私は生まれ故郷の京都(市)が大好きです。
けれども、書簡を通して見たふるさとの姿は厳しいものがありました。
京都市は近代化に積極的だった進取の精神のあるまち、と言われます。時代とともに姿を変えていくことは必然でしょう。
しかし、ここ数年の変貌ぶりは、「心ここにあらず」の感が否めません。小さなまちが「観光客5000万人 観光消費1兆円」というあり得ない目標を掲げ、やすやすと達成し、さらにアクセルを踏みかけたところに、コロナ禍に見舞われました。
目標を掲げた側は、ここで初めてぎょっとしたようですが、私たち市民はとっくに「もう無理がある」と気づいていたのです。観光客がカラになったまちに残されたのは、「京都っぽい」新店舗、閑古鳥のなくホテル、そして、大通りで堂々と閉めている観光客相手の商店です。京都市民はここにいるというのに、眼中にないかのようです。
これは、やっぱりおかしい。コロナを機に、ここで暮らす人々が主役になるまちをデザインし直さねばなりません。それが、観光客にとっても魅力的な京都になるはずです。

別れの儀式がないと、人は力強く前へと漕ぎ出すことができません。
往復書簡は卒業しますが、私はこれからも与謝野を想います。そして、いとしい風景や人に再会しに、新しい何かを見つけに、与謝野を訪れ続けるでしょう。
別れの次に出会いがやってくるのも、ヨサヲさん、春の喜びですね!

ミヤコ
「往復書簡」終了カウントダウン① 令和3年3月24日

ミヤコさん

 今月いっぱいでこの「往復書簡」も一旦終了となり、ミヤコさんとのやり取りが無くなることが何とも寂しいです。
 2018年から約3年間お付き合い頂きありがとうございました。憧れの京都の最新情報を毎回届けて頂き、まるでそこに行った気になる3年間でした。また情報に情緒のスパイスを塗した文章は大すきで、より一層のミヤコファンになりました。
 2週間に一回のペースで書かなければならない緊張感は、当初自ら言ってしまった「気楽にやりましょう!」とは異なり、全然楽じゃなく、締め切り前には必死の思いでした。逆に出してしまうと次のミヤコさんからの書簡が楽しみで楽しみで。
 ほんと、もう何十年前の話にもなりますが、(まだ、iPhoneもSNSもなかった頃)当時付き合っていた彼女に必死で手紙を書いた記憶が思い出されました。何度も何度も書き直し、一字の誤字があればすべて書き直すといった時間と手間ばかり掛かった手紙をポストに投函した瞬間から、その返信を毎日毎日楽しみにしていました。
 毎日ポストを覗き、手紙が届いていた時のワクワク、その封を開けるドキドキ、遠い淡い純な思い出です。そんな遠い思いと似たような体験をこの3年間、楽しませて頂きました。

 「往復書簡」というのは、吉永小百合さん主演の映画にもなった、湊かなえさんの小説「往復書簡」、小泉今日子さんとこぐれひでこさんの「往復書簡」がヒントになったものです。
 この「往復書簡」という漢字や響きがなんとも良くて。デジタル時代真っ只中のアナログ遺物のようで。今アマゾンで調べてみるといろいろ往復書簡のタイトルの本はあるのですね。「漱石・子規往復書簡集」(岩波文庫)や「谷崎潤一郎=渡辺千萬子往復書簡」(中央文庫)ってのも発見。日本の名だたる文豪の方々も書いていたんだと思わず嬉しくなり、即購入しました。

 「継続こそ力なり」という諺があります。
 この3年間、とても鍛えられました。なんでもそうですが、継続することの大変さを思い知りました。でも力になったぜ! 3年を振り返り、つくづくよくやれたなあと思います。
 でも、ひとりじゃできなかった。
 ミヤコさん、本当にありがとう。

ヨサヲ
与謝野町観光協会 会員企業
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