ミヤコ様
お便りが一週間遅れてしまいました。ほんとに申し訳ないです。
病んでいたわけでもなく、ただただ失念しておりました。言い訳がましく言うと、ちょっと忙しかったことが原因かなと。
ミヤコさんからお便りを頂いた頃、ホップ体験の1回目の反省と2回目に向けての修正などでバタバタ、また夏の盆花の販売など打合せが立て続けで・・・、やっぱりいい訳にしかなりませんね。
おかげさまで、はじめてのホップ体験は大盛況でした。2回の体験で約60名の方に参加して頂き、しかも東京・横浜・富山・愛知など遠方の方や京阪神からも多数ご参加頂きました。
ホップ収穫を16時から始め、ホップ畑で1時間。その後は、広大な農園を経営する会社の自称「ファーマーズレストラン」で 食べ放題飲み放題のBBQ。摘み取ったばかりのホップを茶漉しで濾すと、市販のビールが香り豊かなクラフトビールに大変身するなど驚きのお楽しみもあったりで、大盛り上がり。
あらためて、こうした「どこにでもある」ものでないコンテンツのパワーを実感するとともに、こうした魅力のコンテンツの価値をよく知っている方が多数いること、そしてその方々は、「お金では買えない価値」の体験として日本中から来て頂けることに驚きました。
まさに「プライスレス」なんですね。
ミヤコさんの悲しみ、無念の書簡、京都アニメーションの惨事。私はオフィスに行ったことはないのですが、「けいおん!」や「涼宮ハルヒ」はよく知っていたし、何度か企画会議で話題に上りました。周囲もアニメ界を引っ張る関西の雄として認識していました。アニメといえば、昔はオタクの趣味などとメディアが勝手に作るイメージでしたが、今や日本が世界に誇る傑作コンテンツです。
テレビの映像を通じてしかわかりませんが、多くの若者が日本中から現地に訪れ、献花を添え合掌している姿を見るに、なんともいえない気持ちになります。彼らにとって、京都アニメーションの存在もまた、「プライスレス」なのでしょう。
「何事にも変えられない価値」、昨今のグローバル資本主義経済の営利競争の中、今一度しっかり考えなければならないことだと、ホップ体験や京アニ惨事を通じ、実感しています。
暑い毎日が続いております、どうぞご自愛ください。
ヨサヲさま
梅雨が長引き、農作物への影響が心配です。しとしとと降るものの、気温が上昇しないので入道雲ができません。田んぼをしている友人が「からっと晴れて暑くなり、ザッと夕立が来ないと稲が育たない。カミナリを『稲妻』というだろ?」と教えてくれました。
ホップは順調に育っていますか?今月は週末ごとにホップの収穫祭ですね。生ビールに収穫したホップを入れて飲むと格別とか。生産地でしかできない味わいも、青空の下でこそ。そして、祇園祭で好評のリフレかやの里のジュースも、農産物の恵みがあってこそ。さんさんと輝く太陽が待たれます。
さて、祇園祭の前祭が済んで、お便りには後祭の山鉾町をお伝えするつもりでした。
長刀、月、鶏、船など大型で華やかな鉾など23基が巡行する前祭に比べ、後祭は10基と数こそ少ないものの、私のオススメはこちら。橋弁慶山、浄妙山、鯉山などご神体がアクロバティックな山や、復興を果たした大船鉾など見どころ満載だからです。
でも、お便りを書いている最中に、京都アニメーションの放火のニュースが飛び込んできました。
私は以前仕事でスタジオを訪ねたことがあります。ニュース映像にも出てきますが、内装に木をふんだんに使った温かい雰囲気でした。アニメーターの方々は女性が多く、ママさんもおられました。
世界で評価される、寛容でやさしいストーリーや美しい描写はもちろん、アットホームな雰囲気は創業にもひみつがあります。京アニは虫プロのアニメーターだった八田陽子さんが結婚で京都に移ったのを機に仲間らで立ち上げた小さなグループが始まり。女性らしい丁寧な仕事ぶりを大切に、少しずつ仕事の幅を広げてこられた会社でした。
くしくも最近、若い人に「好きなアニメ」をアンケートする機会がありました。最も人気があったのが水泳男子の青春物語『Free!』、そして、『響けユーフォニアム』で吹奏楽を始めた生徒が複数いました。若者にこんなに前向きな影響を与えるなんて素晴らしい。それだけに、一人一人の命を思うと言葉になりません。映画のエンドロールで流れる小さな名前に誇りを込め、あの日も作業しておられたのでしょう。
『けいおん!』では滋賀県の豊郷小学校が有名ですが、私が住んでいる北山や松ヶ崎、実家近くの一乗寺界隈も登場します。市民の散歩道である賀茂川や高野川の風景も。「聖地巡礼」する若い人を何度も見かけたことがあります。
祇園祭は鎮魂の儀礼でもあります。京アニの無念と夢に京都の私たちは寄り添い続けます。祈りを込めて祇園囃子の写真を送ります。悲しい夏です。