ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
与謝野への道は「したみち」で。 平成30年11月14日
ヨサヲさま

 与謝野は錦秋の始まりでしょう。京都市内に住んでいると、山々の紅葉に憧れます。もちろん京都盆地は南以外の三方を山に囲まれて、どこにいても山が望めます。しかし、ご存知の通り、京都市の山は常緑のスギが多い。特に、鴨川にかかる橋から見る北山の連なりは、四季を通じて青々としています。整然としていて美しいけれど、どこか人工的な印象。私はパッチワークのキルトのような、暖色にぎやかな山里の秋にひかれます。

 さて、前回の書簡でヨサヲさんが書いてくださった「与謝野入り」。どんな時でも、これだけは守りたい、私のこだわりです。 先日もお話ししたのですが、私は以前から「丹後王国」に興味がありました。ある時、手に取った本の表紙をめくると地図が載っていました。それは朝鮮半島や大陸を下、日本を上にした地図で、そう配置すると日本海がまるで地中海のようでした。異国までかなり距離がある太平洋側に比べ、日本海側こそ日本の玄関やん!と目からウロコの思いでした。今でも手元にある『日本海域の古代史』(門脇禎二著)です。
 王国へ近付くわくわく感を味わうために、京都市から車で与謝野に行く時は下道、つまり国道や府道を走るのです。そうすれば、丹波、福知山を経て、文化が変わる瞬間を肌で感じることができます。大江山の酒呑童子も、南からの侵入を防ぐ仁王の役割を果たしていたのかも。独自の権威や文化を守るためには、衝立になる山が必要です。
 この感覚、目的地に何より速く到着させようとする高速道路では味わえません。 京都縦貫自動車道は、最寄りの与謝天橋立ICに続いて、3年前にはようやく丹波と京丹波わち間もつながり、全面開通になりましたね。実は先日の帰路は、高速に乗りました。カーブも少なく、走りやすい。しかし、そもそも高速道路は人里離れた山の中がルートなので、景色はどこも似ていて単調。休憩や買い物もサービスエリアに集中して、途中の集落でふらりと店を覗く楽しみも少ない。何より、「あ、風土が変わった」というトキメキがないのです。
 高速道路はよく「観光の決定打」のように言われます。つながれば都市部からもアクセスしやすく、観光客の増加も確かに期待できるでしょう。でも、「速い」「便利」ばかりでは、気づかぬ魅力が与謝野にはありますよね。
 観光客が多い土日は高速も渋滞します。先日もひどかった‥。ならば、なおさら「シタミチ」です!
ミヤコ
着物が似合う場所 平成30年11月10日
ミヤコさま

 先日はありがとうございました。久しぶりにお会いでき、心躍る時間でした。
 いつもと変わらないチャーミングさに加え、着物姿のミヤコさんは艶やかで素敵でした。着物姿、とてもお似合いです。
 当日は、多くの皆さんに来町して頂けました。
 ちりめん街道のこのイベントは、まさにちりめんの町・与謝野が、皆様に和装体験や正絹、丹後ちりめんの魅力を知って頂きたいという思いからスタートしました。おかげさまで今年は晴天に恵まれ、1500名を超える着物ファンの皆様方にご参加頂き、大変盛り上がりました。
 着物姿で散策される皆様を見るに、普段とは違う非日常の光景が広がります。一方、街並みが古いだけに、何かその風景にマッチするように見え、時代錯誤に陥ったりもします。街並みとの調和ですかね。たしかに、京都市を着物姿で散策しても近代化した建物、乱立する商業施設、非日常の世界遺産建築物などでは、着物姿との風景のリアル感がないかもしれません。与謝野町だからのリアリティ、大切にしたいです。
 このようなイベントが町外の方から評価を頂き、町民の自信や誇りとなって町の活性化につながればと思っています。
 ミヤコさん、ぜひ来年も来てくださいね。おっと、その前に3月にはちりめん街道で雛巡りがあります。こちらもお誘いしなくっちゃ。
 そうそう、とても気になるミヤコさんの言葉。
 「与謝野入り」の醍醐味、丹波から福知山を経て、国道176号線を北へ。大江山を右手に与謝峠を超えると、加悦大橋から眼下に加悦谷の集落。「京の都」を出発し、海を表玄関とする異なった文化と価値観を誇る「丹後王国」に踏み入ったことを実感する瞬間。 この視点は、ここに住む私には、いつもの当たり前の風景であり気にも留めていなかったことです。こうした都市で生活する方だから感じるリアリティ、すごく興味深く、あらためて勉強になります。

ミヤコさん、どうもお疲れ様でした!
ヨサヲ