みなさんこんにちは。
最近、丹後では田植えをされていると聞きました。もう夏がやって来ていますね。東京は梅雨入りしていますが、まだそう暑くはないです。私が丹後を訪れたのも、もうしばらく前のことのようです。丹後にいたときは、幸いにいくつかの工房を見学させていただきました。着物が大好きな私にとって、テキスタイルの産地に行くことはいつも楽しみで、訪れる度に新しいことを学ばせていただいています。
今回は、田勇機業さんをご紹介します。田勇さんは丹後でも大きくて有名な、シルクのちりめん織元です。私はオーナーの田茂井さんに案内していただき、賑やかな工房内を見学させていただきました。
工程は複雑で何段階にも渡ります。この工房見学で、私は経糸(たていと)の大切さについて知り、よく考えるようになりました。横糸は織る過程で切れてしまった場合に繋ぎ合わせるものですが、経糸は生地全体の長さになります。
田勇さんの工房には、この経糸を絡まないようにして並べておくための特別な場所があります。長さ12メートルはあり、絹着物一反の長さに相当します。ここで数千数百もの細長い糸が巻き取られ、おもりでテンションをかけられています。そして、その糸を小さな網目に通して適所に集め、最後に大きな木製のローラーに巻きつけていきます。
こうやって織るまでの間、全ての経糸が決まった位置にキープされています。織られる前の絹糸も美しい光沢を放っています。
私はこの工程が特に面白いと思いました。一枚の着物には数千本の経糸がありますが、その一本一本が正確な位置にないと絹を織ることができないんですね。
こんな風に私は工房を訪れるといつも真剣に職人さんとお話しすることを楽しんでいます。雰囲気を感じていただけましたでしょうか?
それではまた次回にお会いしましょう。