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シーラクリフの きもの日々是
April 16, 2020

自宅待機の日常から丹後へのメッセージ


 皆さんこんにちは。お元気にされてますでしょうか。ほんの数週間前に、今の世界がどんな状態になっていくか想像するのは困難でした。2月にイギリスを発つ直前に、娘が通っていたウェールズの学校が閉校すると発表され、彼女を連れて帰国することになりました。幸い私が乗る予定の飛行機に娘の席を確保でき一緒に帰国もできましたが、帰国後は14日間自宅で一緒に隔離されながら過ごしました。2週間経ってから、ちょうど桜の咲いている与謝野にも少しだけ行くことができました。いつもの様に自然がとても美しくて、まるで普段の生活ができているかのようでリフレッシュできましたが、また東京に戻ってからは自宅待機となり、隔離状態になりました。その短い旅行を除くと、3週間ほとんど家の中にいる生活です。

 皆さんは自宅待機中、何をされていますか?私は実際、着物イベントのない土日と同じように家で過ごす日が多いです。掃除をしたり、ちょっとしたガーデニングをしたり、着物のことについてエッセイを書いたりして、ある意味で生活はあまり変わっていません。それでも普段なら1日14キロ自転車を漕ぎ、1万歩は歩いていますので、そうできないことを残念に思っています。外に出るのが好きなのですが、友達と会っておしゃべりしたり、生徒に教えたりすることができません。どうしてもスーパーに行かなければいけない時は、マスクとマフラーをして出ます。外にいる人は皆、顔を隠していて、街に笑顔がありません。私には手直しの必要な着物や、他にも色々と裁縫をしないといけないもの、読むべき本も山積みになっています。テレビは持っていませんが、これらのものがあるおかげで退屈はしていません。時々、友人や家族とオンラインチャットやスカイプでやり取りしています。

 イギリスやベルギーには家族がいて、イタリアやスペイン、米ニューヨークにも友達がいるので、日々彼らがどうしているのか気になります。今のところ、彼らはウイルスにかかっていません。夜は世界で起こっているニュースをまとめて見るようにしています。それ以上頻繁に見ていたらパニックになってしまうでしょう。一日に一度だけ、世界ですごく恐ろしいことが起きているのを見ています。医師や看護師に防護服が不足しているという記事を読むと腹が立ちますし、彼らの中に亡くなった人もいると聞くと涙が出てきます。今、病院で働いている人たちがどんな状態でいるのか想像もつきません。街角のショップ店員や配達員、清掃員の方々も目に見えない敵との戦いの最前線にいるヒーローです。本当に恐ろしい状況ですよね。

 今年中止になってしまった着物のイベントや、延期になってしまった企画については本当に残念に思っています。この春、学校に行くのを楽しみにしていた子どもたちや学生たち、働けなくなって経済的に困窮している人たちがいることもとても悲しいです。日本の生活は、これから回復していく前にも更に大変なことになっていきそうです。私たちはこれからも他国の経験から学ばないといけないでしょう。このウイルスを止めるためには、多くの人々の大きな犠牲が必要になっています。病気からの回復には時間がかかりますし、どの国もまだ被害から完全に回復していない状況です。

 どんな曇った雲の中にも希望の光があると言います。でもこの場合、何が希望なのかはわかりません。確かに今、世の中に良いことは少なくなっています。人類はこれまで急速に進めてきたスピードを緩めることを余儀なくされています。東京の人々の生活はおかしくなっており、皆あまり落ち着いてじっくりと考える時間がありません。立ち止まり考える時間があると、本当に自分がやっていることは正しいことなのかと自問自答してしまいます。これは自分にとって意味があることだろうか?これから人生をどう生きたいのか?私は誰かに何かを返せているのだろうか?そんな風に考えると、自分の身近な家とそこにいる人たちに感謝できるようになってきます。一人で孤立している人もいれば、虐待やストレスの多い人間関係の中にいる人もいますが、私の家には幸い柔らかな調和があり、また比較的広々としていて、スペースのあることにとても感謝しています。空間は物よりも大切だと思います。空は青くて、外は静かです。空気は澄んでいるので、植物や動物たちも幸せな状態かと思います。自然はいつものように伸び伸びとしていて、私の庭にはチューリップが咲いています。以前に植えたジャガイモもすくすくと育ってきています。

 この後、世界がどのように変わっていくのかは誰にもわかりません。私たちがこれから何を経験しなければならないのかも正確にはわかりませんが、多くの人がこの経験によって良くも悪くも何かしらの変化を遂げることでしょう。その際はそれぞれが親身になって支え合ってほしいと思います。先日、新型コロナウイルスの感染が発生した大学で職員や学生がいじめられていたということにゾッとしました。私たちは団結して、この恐ろしい病気にかかった人たちに対して優しく接しないといけないでしょう。また私たちは、高齢者の隣人が買い物を必要としているかどうか、話を聞いてあげる必要もあります。これからも生活のため準備をしなければなりませんが、不足が怖いからといって慌てて物を買い占めるようなことをしてはいけません。私たちに与えられた時間を賢く使っていきましょう。今は前から読みたいと思っていた本を読んだり、新しい工芸品を使って試してみたり、音楽を作ったり、オンラインコースをやってみたりすることだってできます。新たなプロジェクトを進めたり、ゲームをしたり、家族と一緒の料理作りを楽しむこともできます。身近な人と共に創造的になれる時間を持つことができるのは素晴らしいことです。

 今まさに世界は分水嶺に差し掛かっているのではと思います。今起こっていることを終息させていくとともに、逆に世界をこれからどのようにしたいか考える必要があります。私たちにとって今という時は危機でありながら、変革を起こすチャンスなのだとも思っています。

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