飛ぶ雲に 秋の日ひかり そのもとに
大江の山の 盛れるうす紅
飛ぶ雲に 秋の日あたり そのもとに
大江の山(おおえのやま)の 盛れるうす紅 与謝野鉄幹
昭和6年11月の作品。
このとき与謝野鉄幹は、与謝野町出身の父・与謝野礼厳法師の追念碑除幕式に出席するため、父親の面影が残るここ当地を訪れました。
真夏に比べ低くなった陽光が空の雲にあたって光り輝いている。
その空のもとには大江山連峰が広がり、
山肌一面がこれまた紅葉によって薄紅色に輝いている…
大江山の秋の美しさを、その空の色との調和の中でうたっています。
鉄幹の父礼厳は浄土真宗の僧でありながら歌人でもあった人で、生涯に二万首の歌を作ったと言われています。そのうち、故郷である加悦町をうたったものとして
「見も聞きも涙ぐまれて帰るにも心ぞ残る与謝のふるさと」 (明治25年春)
があります。
与謝野町の文学の発信拠点である「江山文庫」から徒歩7〜10分程度。親水公園の方面へ向かう道沿いに、ご紹介した歌碑があります。周囲は水田。5月下旬ごろには田植えを終えた水田に鏡のように映る山々が美しく、秋には黄金色の稲が頭を垂れることとなります。
親水公園の与謝蕪村句碑をスタート地点として、与謝野町観光協会前(よさの野菜の駅前)の与謝野礼厳歌碑、与謝野鉄幹歌碑、高浜虚子句碑、そして江山文庫を徒歩で散策すると、片道徒歩20〜25分程度。自然の空気を感じながらのウォーキングにいかがでしょうか。