海山の 青きが中に 螺鈿おく
峠の裾の 岩瀧の町
大内峠一字観公園内の妙見堂の傍らに、与謝野町ゆかりの歌人、与謝野鉄幹(寛)・晶子夫妻の歌碑が残っています。
本のしおりを模した石碑の一方の面に鉄幹の短歌が、他方に晶子の歌が刻まれています。鉄幹・晶子の歌が並んだ歌碑は全国に存在しますが、両面に刻まれている例はまれです。
昭和五年五月に丹後を訪れた鉄幹・晶子夫妻。二人はここ大内峠で多くの歌を詠みました。また前日には岩滝小学校で講演も行っています。この講演会を主催した岩滝町婦人会が創立十周年を記念して設置したのがこの歌碑です。側面には夫婦の訪れた昭和年五月二十一日の日付が刻まれています。
【歌意】
空の青さに海も山も溶け込み、景色が青一色となる薄暮れどき、裾野を見下ろせば岩滝の町並みがあたかも螺鈿細工のようにきらきらと輝いて、海山の青と美しい対照をなしている。
二人がこの町の美しさに感嘆した様子が、今日の眺望と碑に刻まれた文字、そして歌から伝わってくるようです。
ご紹介した歌碑は、与謝野町岩滝地区にある大内峠「一字観公園」内にあります。日本三景 天橋立が横一文字に見えることから「一字観」と言われ、天橋立の絶景を眺められることはもちろん、コテージ・キャンプ場も併設しており、行楽シーズンの人気スポットでもあります。
この歌碑は、一字観公園の駐車場からすぐ、管理等の左側の小さな坂を登った先、妙見宮の隣にあります。付近には徒歩で散策できる距離内に、その他の歌碑・句碑が点在しておりますので、ご一緒に楽しんでみてはいかがでしょうか。