いと細く 香煙のごと あでやかに
しだれざくらの 枝の重る
与謝野晶子(よさのあきこ 一八七八~一九四二)「みだれ髪」刊行とともに明治の歌壇に一大センセーションを巻き起こした与謝野晶子。この歌は昭和三年に刊行された歌集「心の遠景」 に収録されました。
大正十四年ごろ、知人から自宅の庭にしだれ桜を贈られて詠んだもの。枝ぶりの大きなしだれ桜の美しさを詠んだ歌の背後には源氏物語を生んだ王朝の昔への憧憬が感じられます。赤・青・緑三色の美しい継色紙に書かれたこの作品をそのまま信楽焼で再現しました。
ご紹介した歌碑は与謝野町立の「江山文庫」の敷地内にあります。江山文庫では与謝野晶子ほか与謝野町ゆかりの歌人・俳人たちの短歌や俳句に関する掛け軸や短冊など、3000点を超える作品が所蔵されています。周辺はアーティストのアトリエが立ち並び、感性をくすぐるロケーションです。
親水公園の与謝蕪村句碑をスタート地点として、与謝野町観光協会前(よさの野菜の駅前)の与謝野礼厳歌碑、与謝野鉄幹歌碑、高浜虚子句碑、そして江山文庫を徒歩で散策すると、片道徒歩20〜25分程度。自然の空気を感じながらのウォーキングにいかがでしょうか。