刈り取られた田んぼの脇で咲く彼岸花が、秋の空に映えています。新米収穫のたよりに、心躍ります。
京都市内も祭りの季節のまっただなか。神前には新米とともに、色とりどりの山の幸・里の幸が供えられています。写真は先月末、下鴨神社の観月祭です。台風の影響で中止した社寺(大覚寺など)もありますが、上賀茂、下鴨、北野、八坂など市内の主要な神社ではさまざまな行事がありました。
仲秋の名月は別名「芋名月」とも。その名の通り、秋野菜の走りである里芋や枝豆が舞殿に並べられ、観客と一緒に管弦を楽しんでいましたよ。おだんご、芋、豆はいずれも丸いので、「月を映す」さらに「ものごとを丸く収める」という意味もあるそうです。少々こじつけ気味ですが、良いことなので信じることにしましょう。
月見といえば、9月よりも10月中旬の「十三夜」の方が晴れる確率が高いうえ、空気も澄んでいるので、こちらを「栗名月」として愛でる地域も多いそうです。
北野天満宮では「ずいき祭り」(1〜5日)もにぎやかに開催中です。里芋の茎(ずいき)で屋根をふき、野菜や乾物でしつらえた御輿は、「ビバ収穫!」の喜びが爆発しています。「はんなり」な都人の発想ではない、プリミティブな躍動感。都の台所を支えた近郊農家の「どうや!」という誇りを感じる御輿です。ええなあ。
出仕しているのは「西ノ京の氏子」のみなさん。いまは西ノ京も「まちなか」感がありますが、祭りが始まった昔は田んぼや畑が広がり、都を支える「近郊の供給地」でした。京都市の西側(西院、西ノ京、大将軍)はもちろん、市の東側、私の実家がある左京や北区も、少し前まで田畑だらけでした。まち域が広がり、随分減りました。
それにしても、「京野菜」というブランドは、万願寺は舞鶴、えび芋は京田辺‥と昔から府内各地が主要産地なのに、「都っぽい」イメージに隠れて、あまり知られていないと思われませんか?もったいないです。怒れ、生産地!国内外にアピールする「キョウト」は京都市だけではつまらない。オール京都で、北から南の豊かさをもっと伝えてほしいですよね。
ずいぶん秋らしくなってきました。朝夕も少しひんやりとする日々で、Tシャツだけでは寒く感じる日も増えました。こちらは、稲刈りが終盤を迎え、黄金色が稲刈り後の土色に変わってきています。店頭にも新米が並ぶようになりました。
土鍋、いいですねえ。私も買おうと思って調べたら、いっぱいあるんですね、土鍋の種類。どれで炊いたら美味しいかわからなくなります。でも、土鍋で炊いたご飯であることでOKですよね。近々購入します!
さて、新米の季節もあって、興味本位に新米神事について調べてみました。まず、神嘗祭・・・か・ん・な・め・さ・い と読むんですね。神嘗祭は毎年10月17日。伊勢神宮きっての大行事で、天照大御神にその年の初穂を奉納する儀式。伊勢神宮にとって正月でもあり、この祭りを機に装束などを一新することもこの祭りの特徴のようです。今では伊勢神宮だけでなく、出雲大社のような大きな神社でも行われているようで。ちなみに出雲大社では神宮遥拝といって、伊勢神宮に向かっての儀式があるそうです。(直接、出雲大社に聞いてみました!)
神嘗祭に対して、新嘗祭(にいなめさい)は、11月23日。弥生時代から行われてきた宮中行事で、天皇が国民を代表し、五穀豊穣、豊作を祈って全国の神々に感謝を捧げる日らしく。どちらの祭りも、お米をはじめとする穀物の収穫に感謝の意を込めるお祭りですね。
おっと、11月23日は国民の祝日「勤労感謝の日」。そもそも第二次世界大戦前には国の大祭日とされていたけれど、大戦後のGHQの政策によって天皇行事・国事行事から切り離さられる形で改められたものが、「勤労感謝の日」である、とWikiに記されてます。
いやあ、やっぱりお米は日本の「すべて」そして「そのもの」であることをあらためて実感します。パンとはわけが違うわ。感謝感謝。