ヨサヲとミヤコの往復書簡 京都に憧れる与謝野のヨサヲ。与謝野に憧れる京都のミヤコ。往復する2つの想いは、ただの雑感? それとも…。
聖地で刀剣女子の純愛を見た 平成30年12月26日

 ヨサヲさま
 「観光狂騒曲」の様相を呈した平成最後の師走が暮れていきます。
 ヨサヲさんご指摘の「夜の観光」といえば、まずライトアップですよね。春の桜、秋の紅葉に続いて、師走にも「京都・嵐山花灯路」があります。
 10年以上前、冬の閑散期に集客しようと始まったイベントです。始まった当時は驚きました。寒風吹きすさぶ渡月橋や竹林を散策させるって、ちょっと無理がないですか? 十分に目的は果たせたので見直してもいいのでは。冬ぐらいは静かに過ごしたいです。

 「観光の分散」は難しい問題ですが、私は数年来、思わぬ地方都市が脚光を浴びる現象に興味津々です。ご存知、アニメの「聖地巡礼」です。
 私が初めてアニメの聖地巡礼を知ったのは10年ほど前。『らき☆すた』の舞台として埼玉県久喜市が注目された時でした。続いて『けいおん』の滋賀県豊郷町、『涼宮ハルヒの憂鬱』の兵庫県西宮市など、実はこれ、すべて宇治市に本社がある「京都アニメーション(京アニ)」の手がけた作品ばかりです。京アニは何と言っても背景がきれい。そして、しっかりロケハンして実在の風景を詳細に描くため、巡礼先が明確です。
 一過性のブームと思いきや、良い作品は世代を超えて新たなファンを生み、息長い観光資源になっています。知らなかった場所が新たな聖地になるのも、面白さのひとつ。知り合いの学生は夏休みに、ある作品の聖地になった鳥取県を初訪問したそうです。

 私も先日、今をときめく「とうらぶ」人気がどんなものか、東山区の粟田神社を訪ねました。知っていますか?とうらぶ。紅白にも出演するという、あの『刀剣乱舞』です。
 元々は3年前に発表されたオンラインゲームで、名刀を擬人化した「刀剣男子」が戦うストーリー。人気が高じてミュージカルになり、アニメになり、来年には実写で映画化もされるそうです。女子たちの多彩な好みに応えるため、キャラクターも百花繚乱。中でも三日月宗近ゆかりの粟田神社や建勲神社は「刀剣巡り」の御朱印帳を共同でつくり、ファンを東奔西走させています。
 全国各地から来た刀剣女子たちが綴った絵馬には「聖地に来た!」の喜びが弾け、「ひと振りでも多く後世に残りますように」「三日月が永遠に幸せに」など、登場人物や刀剣への愛があふれていました。ゲームはフィクションで実在の場所と何の関係もないのに、みんなうっとり。人斬りの道具の日本刀にラブって、ちょっと怖いですが。

 ゆかりの地は京都市周辺とはいえ、決して人気の観光スポットではありません。「地域の魅力」に加えて、「恋する人」に会いに人は旅をするのだと気づきました。それがたとえ架空の人物でも(刀剣でも)関係ありません。
 丹後に眠る群雄割拠の王たちもポテンシャル高し!神話も含めればキャラも幅広く設定できそう。恋する「王国女子」たちが与謝野を巡礼する日が来てほしいな!

ミヤコ
最近、耳にする「公害」 平成30年12月26日

ミヤコさん

平成最後の年末ですね。お忙しいことと察します。2018年の訪日客はついに3000万人の大台を突破するような勢いのようです。最近、「観光公害」「オーバーツーリズム」という言葉をよく聞くようになりました。京都市に住まれるミヤコさんの話が、とうとう国の問題、メディアの関心事となって表面化してきました。

京都市は、人口150万人に対して、年間観光客数5000万人。市民の37倍。
なんと鎌倉市は人口17万人に対して、年間観光客2000万人。市民の125倍。先日テレビで、観光客溢れる鎌倉、江ノ電の線路上で撮影する訪日客の様子が。インタビューに、「スラムダンクの冒頭シーンの場所での記念撮影」と答えてました。(話逸れますが、スラムダンクもグローバル(観光)コンテンツです、笑)

有識者は、この解決方法を場所・時間の分散化と言ってますが、それで解決するのかなあと疑問です。時間の分散は、既に早朝○○、夜の○○など京都市や他の観光地でも取り組まれていますが、目に見えるような効果はでていないような気がします。
やはり、場所の分散をもっと大規模で実施するしかないのでは?と思うのです。

大規模とは、京都市内での場所(スポット)の分散化ではなく、京都府全域を対象とした場所(エリア)の分散化。京都市観光ではなく、京都府観光。それには交通インフラや宿泊インフラなどまだまだ課題はあると思いますが、まずは方向性の大号令でも出してもらいたいものです。

来年のゴールデンウイークは10連休。訪日客3000万人時代に加え、日本中が休暇に入り、日本人の大移動が予想されます。このままだとせっかくの10連休も家に閉じ籠らなければならない家族が大発生します。まるで失職家族みたいに。行先は海外しかなくなるんじゃないかな。ということは、羽田や成田、関空などの主要ターミナルが大パニックに陥ることも想像されます。こわい、こわい。

「観光公害」・・・久しぶりに「公害」という言葉を聞きます。「公害」といえば、高度経済成長の70年代、工業化に伴う大気汚染、水質汚染でした。小学生ながらに社会の矛盾を感じた記憶があります。半世紀ぶりに聞く観光というサービス産業に伴う「公害」は自然破壊に留まらず、生活環境の侵害という住民の日常生活を脅かす新たな害です。やはり、成長の一方でなんらかの問題が発生すること、そしてあらためて「観光産業」の難しさを実感します。

ヨサヲ