昭和8年に丹後を訪れた吉井勇47歳の時の作品。
かの縮緬の里では毎年盛大な祭が行われる。「今年もぜひ祭を見にいらっしゃい」との書き出しで始まる当地からの便りも今や恒例のものとなった。今年もそろそろあの便りが丹後から届くのであろうか…
ここでの「縮緬の祭」は現在の加悦谷全域で古くより行われている加悦谷祭りでしょう。
加悦谷祭りは明治の末期より現在の時期(4月下旬)に統一されているといいますから、昭和8年に詠まれたこの歌での「便り待たれぬる」思いは、同時に暖かい春を待ちわびる思いにつながっていくのでしょう。