雪を踏む。

ことのはコラム山の雪踏む人を我れ知らねども世に消息を絶たずして行け 晶子

 与謝野町ゆかりの歌人、与謝野晶子さんが昭和十一年三月に発表した短歌で、「山に憶ふ」と題して榛名・伊香保を旅した際の連作の一首です。前年に最愛の夫・鉄幹を亡くしている晶子は

旅をして起きふし君と歌ひつつ経たる月日のなど絶たれけん

思ひ出は榛名の山に満ちわたり君がいくつの面影も立つ

といった風に、旅中にあっても亡き夫への哀惜の情を隠さない歌を多く詠んでいます。そうした中でふと目に入った、雪山へ入っていく名も知らぬ旅人にもきっと家族や大切な人が居るであろうことに思いを馳せ、優しい気持ちをかけた歌といえるでしょう。

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